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同窓の郷愁・一本松?

東筑のシンボルとして一本松がグランド中央にあったのはご存知でしょうか。東筑58期以前の卒業生は、感傷を伴って想起されることでしょう。昭和32年11月30日に、創立以来東筑の象徴として幾多の先輩に親しまれ、懐かしがられた「一本松」が姿を消した。
それまでに卒業したその時代の人には、思い出深いが以降の卒業生、在校生の関心は薄い。
当時の心境を「一本松こそ私らの心の墓標。それは、『負くるな、なんにでも負くるな』であり、東筑魂は負けじ魂だった。広い運動場の真ん中に負けずひるまず、いつも美しく、強く正しく天高く立っていた」と称えている。
また、在校中は「野球部やグライダー部にとって一番邪魔な存在であった」とも述懐されている。
昭和50年に45期生によって、一本松の根っこが掘り出され、現在、東筑会館1階ロビーに展示されている。

「一本松の根柢」の台座に次のように記されている。
樹齢百数十年、高さ凡そ20メートルの黒松、明治35年、本校の現在地移転以来、半世紀余の歳月を本校と共に生きてきた。
校庭中央に亭々と屹立した姿には、長年の風雪に耐え抜いた凛然たる美しさがあった。質実剛健、不撓不屈、進取雄大、侠気果断の本校校風の象徴であり、卒業生の母校を偲ぶ縁として深く愛され、「一本松」と呼ばれ親しまれてきた。明治31年、現在地に校舎建設のため丘陵南斜面松林を整地した際、一本だけ伐採されずに残ったものであるが、昭和30年頃から衰弱の兆しを見せはじめ、同32年初秋、遂に枯れた。同年11月30日鎮魂式を執り行い伐採した。
この根柢は昭和50年2月、45期生により発掘されたものである。
昭和53年本校80周年の際、新たに台座を設け、この正面玄関に安置して千歳の記念とする。


昭和53年11月
昭和53年安置 昭和15年頃


「一本松」が姿を消して以来50年余、平成20年、本校創立110周年記念に、その位置を確認し、指標を設置して東筑のシンボルへの思いを新たにするものである。
指標は百年館(旧多目的ホール)階段入口に設置され、一本松は是より西72m・北緯33度51分、東経130度43分の位置にその雄姿があった。


石川匡宏 元教諭(48期)揮毫 平成20年3月